幻に終わった言葉。「オフィスガール」
事務所などで働く女性一般職も当然、戦前に存在していました。

昭和11年(1936)、堀野正雄(1907-1998)というプロカメラマンが撮影の映画会社の事務員さんです。格好だけでなく知性も併せ持つ「戦前版キャリアウーマン」。言うなれば「スーパーモガ」といったところか!?
彼女らに対する呼び名は「オフィスガール」。

昭和15年の『アサヒグラフ』からですが、和服族と洋服族が分かれてあたたかい冬の陽のもと日向ぼっこという構図です。この写真の説明には「オフィスガール」と書かれており、戦前からそういう呼ばれ名があったことがわかります。
で、戦後になりまず付けられたのが、「サラリーマン」の女性版の「サラリーガール」。
美空ひばり主演の映画にも出てきます。しかしダサかったか長続きせず、昭和32年(1957)あたりから「ビジネスガール」という呼び名が広まったのですが、後者は英語で売春婦を指す俗語だという指摘が入りました。
そこで女性雑誌が、新しい呼び名を募集することになりました。
その結果第一位に選ばれたのが、「オフィスレディ」、つまり「OL」です。
この「OL」、実は第一位ではなかったという話があります。
実は本当の第一位は「オフィス・ガール」。これで異議なし、会議はまとまりかけました。
しかし、当時の編集長が待ったをかけました。

40代50代の女性を『ガール』って、おかしくね?
女心理解力ゼロの編集長に毛嫌いされた結果、3位か4位くらいだった「オフィスレディ」が何階級特進で採用されたと。
その真偽はさておき、戦前のモダンが既に過去となり、高度成長期に入っていても、「ガール」の尖端さは当時の若い女性たちに残っていたのかもしれません。当時の「OL」たちは、街中を闊歩する戦前の「オフィスガール」たちを見て、明るい女性の時代をイメージしたのかもしれませんね。
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