岩手県盛岡市の近代建築【近代建築これくしょん】

盛岡の近代建築近代建築これくしょん

先の戦争での空襲を受けていない都市は、明治時代から昭和初期の、戦前に建てられたいわゆる近代建築が多く残っています。
盛岡は空襲を受けた都市の一つではあるのですが、爆弾を落とされた場所が駅周辺と限定的だったために、市街地は特に被害もなく古い町並みが残っています。

それだけに現存する近代建築も多めですが、今回はその中でも見た者を釘付けにするような一つを。

 

盛岡の小原写真館

盛岡の古くからのショッピングスポットとして現在でも商店街がある肴町に、その建物はあります。

 

小原写真館

店名が書かれた飾りが途中で脱落していますが、「小原寫眞館」と読めます。
いつ建てられたかは不明ですが、おそらく昭和10年以降ではないかと推定できます。その理由は後述します。

 

小原写真館

盛岡の図書館に残っていた住宅地図によると、昭和37年(1962)に「白陽写真店」として掲載されています。「小原写真店」ではないのが不思議です。ただの推定ですが、元の「小原」さんはすでに廃業しており、別人物が元写真屋のこの建物を使って新しい写真館を開いたのかもしれません。

 

小原写真館

小原写真館を近代建築マニアの間で伝説たらしめているのは、外壁の縦一面に飾られたマーメイド(人魚)のレリーフ。実際に間近で見てみると、実に細かい。
また、手の上にはかつて「小原寫眞館」と書かれた看板があり、看板を人魚が持ち上げている形でした。他の方の写真には看板が健在でしたが、私が訪問した時は撤去されていました。どんな状態だったかは、こちらのブログにて。

また、人魚ばかり目に入りますが、その向かって右上にあるアスタリスク似の模様や、窓回りの噴水を模したのかもしれない模様も、白色が立体的に見えて素敵です。

 

盛岡の小原写真館

建物の興味深いところは、日光が当たる角度によって壁の色が違ってくること。
上の写真は朝の8時くらいに撮影したものですが、マーメイドの面は明るい茶色っぽく見えます。

 

小原写真館

しかし、翌日の正午頃に再び訪問した時の壁の色は、なんと緑っぽくなっています。これ、ぱっと見は茶色なのに光の加減で緑に見える…もしかして「国防色」

国防色とは陸軍省が昭和9年(1934)命名した色のことで、「青か緑がかった茶色」というような色です。元々は陸軍の軍服の色でしたが、空襲対策の迷彩色の一種として建物にも用いられることがありました。これが、一見茶色なのですが光加減で深い緑に見えることがあります。
戦争中に建てられた軍事的施設や官公庁の外壁は、空襲対策ですべからく国防色にせよと「奨励」されており、当時は日本統治下にあった台湾や朝鮮、大連にも国防色の建物が若干残っています。

小原写真館は軍とは関係ないものの、もしかして建てられた時に軍の「指導」があった可能性があります。私がここの竣工年を、1935年以降と推定する根拠がこれです。なお、自信はありません(笑)
ちなみに、国防色とは呼ばれないものの、色自体はHTMLの色コードでも#7b6c3eとして存在しています。

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コメント

  1. 定マニア より:

    こちらの写真館は、残念ながら廃業のようですが、佐藤写真館はまだ現役ですごい。盛岡市清水町の旧石井県令私邸は廃墟と間違えそうですね。

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