Youは何しに日本へ?(以下『You』)
外国人を取り上げた鉄板番組かつパイオニアとみなされている、知名度も高い番組です。見てる方もけっこういると思います。
しかし本当のパイオニアは、同じTV東京系列の『和風総本家』(2008年)や、政府の国家戦略から始まったNHKの『Cool Japan』(2006年)です。後者は「You」の倍以上の期間やっていますが、ターゲットが外国人な上に放送もNHK-BSか海外でしか見られないNHKワールド(しかも番組進行も基本は英語)、日本での知名度はさほど高くありません。
それに比べると、2013年レギュラー化1の『You』は、10年以上のキャリアとは言え意外と新参なのです。
ところで、『You』と似たようなものに、「ロザンの道案内しよっ!」がありました。お笑いコンビのロザンが、外国人の道案内をするという、「ちちんぷいぷい」という関西ローカル番組の一コーナーでした。関西人以外にはほぼ馴染みがないですが、関西人なら知っている人も多いんじゃないですかね。
残念ながら2021年で終了してしまったのですが、番組内のミニコーナーとしてはかなり惜しまれました。
その「道案内」、『You』とコンセプトがけっこう似ていたのですが、3つの点で違っていたりします。
①『道案内』は外国人より、ロザン菅のハチャメチャ英語が見もの。しかし、そんな英語でもなんだかんだでコミュニケーションが取れている不思議さを味わうのが、このコーナーの醍醐味
②『道案内』のコンセプトは「外国人の道案内」。今もそうだけど、それは1年くらいで崩れ今は日本人でも誰でも容赦ない。大阪風にネタになれば誰でもいい。ただし、声かけられる日本人の9割は菅好みの女性なのがお約束w
③いつスタートかは知らないけど、『You』より歴史が古いことは確か
この番組ロケは毎週火曜日のお昼過ぎ、大阪駅前にロザンが出没していることは公開されているので、最近はそれを狙ってわざと出没する人も。コロナ禍の前は、Twitterでも
ホンマにロザンおるわ!
というギャラリーのツイートが多かったことを記憶しています。
関西では、『You』はこれパクったやろ疑惑がまことしやかに流れているのですが、『道案内』の見どころはロザン菅のJapanglishなんてものじゃない、崩壊寸前の英語。それでも外国人は彼が言わんとしていることを理解しようとコミュニケーションが取れているという面。
海外行きたいけど英語しゃべれないから…という人は、
こんなメチャクチャな英語でOKなんや!
とめちゃくちゃ自信がつくことでしょう(笑)
やはりコロナ禍が影響したか、終了したのは惜しいですね。
閑話休題。
『You』は時折、関西空港にも足を伸ばして取材しています。ある日、本当に取材してるのか?と、一度関空へ見に行ったことがあるのですが、本当にいてビックリしました。腕章をつけたスタッフが走り回ってましたね(笑
「お仕事中」なので声をかけることはなかったのですが、後でテレビ東京に電話をかけて聞いてみました。
なんで欧米系ばかり取り上げるの?
答えは明快でした。
そんなことないですよ!
コロナ後は見なくなったものの、『You』を見ていた私にとってはわかります。欧米人ばかり映っているわけではなく、けっこうまんべんなくオンエアされていると思っているので。
アジア系でも、台湾や香港人はそこそこ露出してるし、タイやインドネシア、マレーシアなどの東南アジア系はヘタな欧米系より多い。
そもそも、
欧米系ばかり映しやがって!
と言っている人は、インド人やパキスタン人はどこの人にカウントするのでしょうか。
アジア人?あんたら勝手やな~(笑
インド人は、アーリア人以外は全民族ウンコとしたあのヒトラーやナチスドイツが「我々と血筋が同じ」と認めた「アーリア人」。ナチスの言い分はまんざらでもなく、インド人は肌が黒いだけで人種的にも言葉的にも明らかに「白人」なのです。
信じられないかもしれないですが(言語学をかじった人にとっては一般常識)、英語やドイツ語と「ナマステ」のヒンディー語などのインド諸語は、一部を除いて欧州の言葉と遠い親戚で文法もかなり似ています。インドの山奥のカシミール語は、「インドのドイツ語」と呼ばれるほど古いゲルマン語の体系に似てるそうですし。
しかしながら、それでも明らかに少ないな~と私でも思うのが、中国と韓国。中国はたまに出てくるけど、韓国はめちゃ多いはずなのに出てこない。
個人的に見たアジア人の中でいちばん少ないのはモンゴルで、過去1人しか見たことがない。カザフスタンやウズベキスタンでも3~4人はいたのに。
中国がなかなか出てこないのは、なんとなくわかる気がします。
理由は、国の制度や日本のビザ発給の都合で個人旅行者が少なく、団体で来ることが多いこと。また早朝・深夜の便の到着が多い上に、団体ツアーは分刻みのスケジュール。一息つけるのは中国に帰る便のお土産購入タイムのみという弾丸ツアーもあるので、インタビューされても答えるヒマがないという事情もあると思います。
おまけに弾丸ツアーに密着しても、ネタなんてほとんどないと思います。
あと、番組も一人でやっているわけではありません。
『You』は成田だけでも3班に分かれているらしく、それぞれインタビューする趣向性が違ってきてもおかしくない。
アジア系に声をかけたら「日本人です」とクールに言われ、それを教訓に欧米系ばかりインタビューするスタッフもいるかもしれない。活動した時間帯が、欧米からの着便が集中していた時かもしれない。
最終的には編集する人にかかっているわけですが、別に欧米人バイアスがかかっているとは思えません。
「欧米人が多い」とか言う人は、そもそも「欧米人が多い」という先入観で番組を見ています。そのフィルターを通して見ていると、メキシコ人やブラジル人、トルコ人もウズベキスタン人も、スペイン系フィリピン人も、み~~んな「ガイジン」に見えてしまう。
彼にとって「ガイジン」はイコール欧米人。そのフィルタでものを見ていると、「ガイジン=欧米人」の一括りでカウントしてしまうため、「多い」となるのです。
外国人慣れしていないと、確かにみんな「ガイジン」に見えるのでこういう思考に陥ることが多いですが、彼らの思考で面白いのは、国際法・国籍的には明らかに「ガイジン」の日系アメリカ人やブラジル人、ベトナム系フランス人、イギリスのパスポートを持っている香港人は「ガイジン」にカウントしていない傾向があること。何故ならば顔がアジア系だから。
つまり、思い込みと見た目だけでカウントしているのです。
彼らの中には「アジア系ではない顔=ガイジン=欧米人」という確固たる信念(?)もあるため、そういう顔の人はタイ人でもエジプト人でもメキシコ人でも、本人が違和感を感じる顔つきの人は無意識のうちにみんなガイジン、つまり「欧米人」にカウントしてしまう。そりゃ彼らの中では世界中のほとんどがガイジンになりますわな(笑)
ある先入観をベースに都合の良い事案だけをピックアップしてどうだと提示することを、「チェリーピッキング」言います。また、「確証バイアス」とも言います。
ネットであれこれコメントするのは勝手ですが、彼らは「書きたい」だけで本当に疑問に思ってなんかいません。テレビ局を叩きたいとか、日本人を叩きたいとか、そういう目的にしか思えません。それか確証バイアスでそう思い込んでいるだけか。
彼らは、「知りたい」を目的に書き込むのではありません。ひと言で片付けたらただの自己顕示です。書き込むことによって、自分を「偉い」と思いたい、思わせたい心理が働き、それで満足してしまいます。ベクトルが自分にしか向いていないから、既に答えが出ているような疑問を書き込んだりする。
番組に聞いたらちゃんと答えが出ます。ほーら、聞いたらちゃんと答えてくれるでしょ(笑
こんなブログ記事もいかがでしょうか
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