大阪府貝塚市の山中に、ひっそりと佇むひとつの墓があります。
それは「遊女之墓」と呼ばれ、かつて遊郭で生きた一人の女性――お千代の悲劇を今に伝えるものです。
なぜこのような山奥に墓があるのか。
そして、この場所に語り継がれる伝説とは何なのか。
本記事では、貝塚に残る「遊女之墓」の歴史的背景と伝承、そして現在の様子について詳しく解説していきます。
貝塚の「遊女之墓」とは何か
大阪南部の貝塚市の山中には、遊女の墓とされる石碑があります。

「遊女之墓」とかかれたこの石碑は、大阪府貝塚市の山間部に存在します。
その名の通り、遊郭に生きた遊女の墓とされ、地元では古くから語り継がれてきたものです。。
一般的な墓地とは異なり、山中の静かな場所に単独で存在している点が特徴的です。
この異様ともいえる立地こそが、この墓にまつわる伝説の存在を強く印象づけていると言えましょう。
では、この墓の主は誰なのでしょうか。
貝塚遊郭と遊女、お千代の悲しい伝説
貝塚が宿場町として繁盛するにつれ、旅籠は「泊り茶屋」を併設、「飯盛女」という女性を置いて客にサービスする許可を藩から得て営業していました。これが貝塚遊郭の原形。
史料によると、遊女は「飯盛女」でしたが「おじゃれ」「おしゃらく」とも呼ばれていました。
江戸時代後期、貝塚の遊郭にお千代という遊女がいたそうです。本名なのか遊郭での源氏名なのかは不明です。
そんな彼女が病気を患い故郷に帰る途中のこと。貝塚から紀州へと通じる道の途中で彼女は水を欲し、川辺へ寄ると自分の顔が流水に映りました。
そこに見えた顔は、見るもおぞましい自分のやつれた姿でした。その自分じゃないような形相に彼女はショックを受け、

こんな姿では帰れない!
と自ら命を絶ったという悲しいお話が残っています。
一人の薄幸な女の悲しい結末ですが、それをかわいそうに思った地元の人たちが、ここに彼女の墓を建てて丁重に供養したそうな。
現在の場所と現地の様子
遊女お千代の墓は、現在でも地元や貝塚市によって丁重に祀られています。
周囲に人が住んでいる気配はないのですが(ただし村の跡はある)、今でも地元の人が住んでいるのか、それとも訪れる人が置いたものか、花もちゃんと手向けられ、定期的に掃除もされているようです。

言い伝えによると、彼女が亡くなったのが文化10年11月14日、文化10年を西暦に直すと1813年。彼女が亡くなって200年以上経っています。
当時の情勢は、外国船が日本近海にあらわれ始め、ヨーロッパではナポレオンがロシアへ遠征し、寒さで全滅した時期。
また、当時の光格天皇がお千代の死の4年後に譲位、上皇となります。現在の上皇陛下のご譲位はこの時以来だと日本がざわついたのは記憶に新しい。
しかし、上の写真のものは比較的最近にできたものらしい。

その片隅に、申し訳なさそうに鎮座している古い地蔵がオリジナルとのこと。
こうして名前が200年経っても知られ、墓が残っているだけでも、お千代さんはまだ幸せな方かもしれません。
墓のパネルの写真
ところで。

遊女の墓の説明文、上述した「遊女の墓」の向かって左側、赤枠部分に貝塚市が作成したパネルの写真が気になりました。
撮影時期は不明ながら、「貝塚遊郭」と書かれた写真があります。が、これは戦前のではなく戦後の赤線時代、もしくは赤線が廃止になった直後くらいの写真かもしれません。

戦後だと遊郭ではなく特飲街(赤線)。素人や一個人がブログで間違えるならスルーするが、公的教育機関が間違えてどないすんねん。この写真の遊郭の根拠は何だと担当者に一度聞いてみたい。
ただ、ホントに戦前の写真だったらごめんなさい。
それはさておき、突き当たりにある赤で囲んだ建物は…

その突き当たりの向かって左側にこの建物が残っています。
突き当たりからは見えないので写真の建物ではないはずですが、これと同じ様式の建物が突き当たりにあったと推定できます。
遊女の墓の場所
行き方:貝塚市の山奥なので、公共交通手段はありません。
険しい山道でもあるので、車かバイクで行くことをおすすめします。
ただし、遊女の墓の前まへは車は入れないので、どこかで路駐必須です。
自転車なら、ロードバイクなどスポーツ系、電動アシスト自転車なら意外に余裕です。
水間鉄道は、日曜のみながら電車に自転車を搭載できるサイクルトレインサービスを行っているので、これを利用してサイクリングがてらの訪問も悪くはありません。
まとめ
貝塚の「遊女之墓」は、
- 江戸時代の遊郭で働いた一人の女の物語
- 山中で無念の死を遂げたお千代を悼み現在でも丁重に扱われている
- 貝塚遊郭からは離れているが、遊郭を語る一つの史跡
これらが重なり合い、現在まで語り継がれてきた場所と言えるでしょう。
華やかな遊郭の裏側には、このような静かで悲しい歴史も存在します。
この墓は、そのことを今に伝える貴重な痕跡です。
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