福島一本杉遊郭(福島県福島市)|おいらんだ国酔夢譚|

福島県福島市の一本杉遊郭東北地方の遊郭・赤線跡
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一本杉遊郭跡を歩く


遊郭跡は、「駅前遊郭」には該当しないものの、JR福島駅からそれほど距離もなく西口からだと徒歩6~7分。
『全国遊廓案内』には、

福島市一本杉遊廓は福島県福島市一本杉新地にあって、東北本線福島駅から約十丁乗合自動車の便がある。

引用:『全国遊廓案内』

とありますが、「十丁」もあるか?そんなに遠くないぞ?乗合自動車(バス)使うまでもないと、実際に歩くと感じます。
もっとも、西口は東北新幹線開業後にできたもの(のはず)なので、遊郭があった頃は東口のみ。そこからだと遠回りになるので多少は遠い。でも「十丁」はさすがに大げさやろと、実地を歩いてみると思うことがあります。

福島一本杉遊郭

当時を偲ばせる建物は現在、一切残っていません。
が、遊里跡に入る前から道幅が急に拡がることがわかると思います。

福島一本杉遊郭

逆方向から見ると一目瞭然。狭い道が急に倍ほどの幅になっていることが目視でわかります。

建物こそ残っていないものの、遊郭の跡は道幅に残っていることがあります。
周囲の道に比べて不自然なほど広い道。それも一本だけ。そこはかつての遊郭の大通りだった道かもしれません。

福島一本杉遊郭

道の広がりは国土地理院の地図にもあらわれています。このとおり、一本だけ違和感のある道幅の道があります。ここが遊郭のメインロードの跡なのです。
遊里跡探索で一丁目一番地に行うことは、遊里はどこにあったのかを特定することですが、Google mapや国土地理院の地図にあらわれた道の幅で特定することもあります。すべてではないですが、地理的残滓として残っていることがあるのです。

赤線がなくなった後、かつての敷地内には県警寮が建てられたのですが、そこにはかつて遊女専門の病院があり、彼女らは週1回、梅毒・淋病などの性病検査を受けることが義務付けられていました。
この病院は一本杉遊郭だけではなく、福島県の遊郭、「中通り」という範囲の遊里のほとんどを受け持っていました。そんな広範囲を医者1名、看護婦3名、薬剤師1名、書記(事務員)1名、雑夫婦2名だけで動かしていたというから、休みなんてほとんどなかったでしょうね。そのせいか、県庁男性職員の初任給が約40円の時代に、遊女担当女性医師は115円もらっていました。
病院の広さは、4~5人が収容できる部屋が12部屋あり、他に治療室や調剤室も備わった、そこそこ規模の大きいものであったと伝えられています。

一本杉の遊郭でかつての面影があるのは道幅のみ。なのでこれ以上特筆すべきこともありません。それだけに、県庁所在地にあった遊郭なのに取り上げる人が非常に少ない。
建物がないと確かに「書くまでもない」という結論に至ってしまいますが、、歴史を掘って地理を把握すると立派な歴史地理学。「一人ブラタモリ」できるのになーと他の皆さんの奮起に期待しつつ、今回は筆を置くことにします。

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コメント

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    • みちのく より:

      突然のコメント失礼致します。
      たまたま記事として見かけたもので。
      私は現在40半ばで矢剣町で生まれ育った者です。
      昔から変わった道だなぁと思っておりました。そういう事だったのですね。
      今でも覚えていますが、私が幼稚園の頃は
      駄菓子屋の後ろに不気味な2階建ての木造の建物がありました。
      2階が異様に低い建物です。それも遊郭だったのでしょうか?

      • 米澤光司 より:

        >みちのく様

        コメントありがとうございます。

        >駄菓子屋の後ろに不気味な2階建ての木造の建物がありました。
        2階が異様に低い建物です。それも遊郭だったのでしょうか?

        場所がわからないと何とも言えないですが、矢剣町内であればおそらく遊廓時代の建物のはずです。

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