貝塚遊郭の元赤線カフエーに突入!|おいらんだ国酔夢譚番外編|

関西地方の遊郭・赤線跡
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「カフェー」の中は-1階

まずは、この中の間取りをどうぞ。

1階の間取りはこうなっています。

こちらは玄関ですが、これといって特筆する必要もない、ごく普通の玄関でした。が、少しなんだか商売風な感じがするのは、赤線カフエー建築だという先入観からなのか。

1階の和室・洋室は喫茶スペースになっており、とにかく人多すぎで写真なんて余裕もありませんでした。

が、私の席から見える視界からでも、けっこう凝ってるな感が垣間見れます。

遊郭の妓楼にしても赤線のカフエーにしても、1階は基本的に楼主の居住地兼帳場だったので、おそらくこの1階は「現場」ではなかったと思われます。楼主の自宅か団体用の宴会場だったかもしれませんが。

そしてもう一つ感じたことが、外はモダーンというか洋風的な趣なのに、中はかなり濃い「和」ということ。赤線は戦後なので特に「和」にこだわらなくても良いのですが、なんなのかこのアンバランスは。

1階には風呂もありました。「そのまま」といってもここはかなりリフォームされているものの、場所と広さは赤線時代と変わっていないはずです。

そして気のせいか、天井の曲線のL字が、なんとなく赤線を感じさせました。

そして、ついに「お仕事場」の2階に潜入!

「カフェー」の中は-2階

遊郭・赤線の建物によくある、余計なくらい急な階段を2階へ上ります。

上りきったところで、まだ生活臭すら感じる洋間が二つあるのですが、そこはあまりに生活の跡が激しいのと、赤線には関係なさそうなので省きます。

2階の間取りはこうなっております。

階段を上がって細い廊下を歩いた突き当たりの廊下の左右に、接客婦(遊郭時代なら娼妓)の「仕事部屋」があるという構図はここも同じ。まるで「妓楼の作り方」のテンプレがあるかのように、大なり小なりみんな似通っています。

しかし、ここは間取りが残っている東京の玉の井や鳩の街のカフェー街に比べると、全体的には部屋数も多く広い方だと思います。大遊郭の大妓楼に比べたら小さいのは否めないですが、地方赤線でこれだけの規模はなかなかのものかと推察します。

1部屋の広さが3畳なのも「テンプレ」とおり。

ここは少し奥行きがあるので、実際は3.5~4畳相当ですが、赤線時代は基本住み込みの接待婦がここに住み仕事への支度をする「自宅」と同時に、「お仕事部屋」でもありました。当時を知る人によると、その女性が好きなのだろう俳優のプロマイド写真やポスターを掲げてあったり、全体的にピンクっぽかったり、まことに女性の生活臭がする部屋が多く、そこが妙な魅力を醸し出していたそうです。

この部屋を外から見ると、このようになります。

赤線は遊郭のように借金の縛りなどはなかったか、またはあっても緩かったのですが、こう見ると窓の格子が逃亡防止に見えてしまうのも、遊郭・赤線史に踏み込んでしまった故の深読みなのだろうか?

しかし2階は殺風景な現場なだけではなく、ちょっとした装飾も残っていました。

上述しましたが、赤線と言えばカフェー建築、カフェーといえば洋風。だから中も洋風に違いないと思ったら、実はものすごい「和風」。洋風を探す方が難しいことが実際は多いです。

遊郭は名目上は戦後すぐの昭和21年(1946)、GHQによって廃止させられましたが、実際は赤線がそれを引き継いでいるということが、内装からも垣間見ることができたりします。

2階の締めを飾るのは、洗面所。むき出しのコンクリートとタイルは、おそらく当時のままでしょう。

遊郭にしろ赤線にしろ、構造が構造なので売春防止法施行による営業終了後は、建物をそのまま下宿やアパート・旅館へ転業する人が多数派でした。

ここは赤線時代、「正家」という屋号であったことが、昔の資料から確認が取れます。

売春防止法施行後はどうなったかのか。昭和34年『貝塚商工名鑑』によると、同じ屋号でスタンド(一杯飲み屋)に転業しています。別の大阪府の資料でも飲食店に転業と明記されているので、廃業後は飲み屋になったのは間違いないと思われます。

おまけー1階のフリマ

1階には、小規模ながらもフリマが併設されております。私の脳内妓楼間取りデータのテンプレによると、ここは元帳場と思われます。

食器や鞄などが中心ですが、50円や100円など、ほぼタダ同然のものも多いので、ご興味があればどうぞ。

その中に、ちょっと風変わりな売り物が目につきました。

人形類の数々…そういえば玄関にもずらりと置いてありました。

スタッフさんによるとここの主の人が趣味で雛人形を集めていたようで、これはそのうちのほんの一部だそう。

そう言えば、2階の部屋にも未整理のひな人形が所狭しと置かれていましたが、そういうことだったのかと合点がいきました。

置いていても仕方ないとのことで、いちおう売りに出しているそうですが、世の中には雛人形コレクターなんかも必ずいるはず。写真以外にもまだまだあるので、そういう方は貝塚で現物を見てみませんか。

赤線カフエー跡の探索は以上ですが、スタッフさんは気さくな人ばかりで、おまけにモーニング100円という破格の安さ。先月も「古い建物好き」な人が数人来たようですが、そんな物好きも包容する器の大きなカフェへ行ってみませんか。

ただし、重要なのでもう一度書きます。

営業日は第4土曜日だけ!!

そして…

私みたいに気合いを入れすぎて朝早く来すぎないように!!

(営業は9:30~)

場所はこちら

遊郭赤線跡の記事はこちらもどうぞ!

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