砂川奇勝−泉南の地に存在した「日本のカッパドキア」

砂川奇勝 歴史探偵千夜一夜
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砂川奇勝は今、どうなっているのか。実際に行ってみた

砂川遊園・奇勝跡へは、和泉砂川駅から山の方向へどんどん登っていくことになります。地図だけを見ると実感がないですが、実際に歩いてみたら駅前からいきなり上り坂、不惑の身体では上るのがけっこう辛いです。

それにしても、歩けど歩けど、「奇勝」は見つかず。あるのは静かな住宅地のみ。「どこにでもあるような」住宅地の風景、方角を見失って自分がどこを歩いているのかわからなくなります。

砂川奇勝

歩くこと約30分、今も残る「奇勝」に到着しました。住所は大阪府泉南市信達市場31−136。

それにしても、「駅から歩いて15分くらい」というのは予測したものの、道に迷った上にハイキング並みの勾配。予想以上にしんどかったです。
夏は飲み物必携。体力に自信がない方は、素直に車で来た方がよさそうです。

上のマップの「砂川公園」と書かれたところに、1ヘクタール分のみ奇勝の一部が残されています。

この砂川奇勝は、全体的に岩の色が白いのが特徴です。

泉南市砂川奇勝

「公園の中にある公園」と書くと、いささか表現がおかしいかもしれませんが、遊具が置いてある公園の土の色と比べたら一目瞭然です。
右の白いのが「奇勝」の土、左の茶色の部分が普通の…というとあれですが、どっかから持ってきた土なんでしょう!?

違うのは色だけではありません。触った時の感触も違います。
「普通の土」は粘り気があり、指でこねると指にへばりつく感があるのですが、奇勝は土というよりまさに砂。
海岸によくあるような、サラサラとした感覚で指でコネコネしてみても指に残らない。まさにここが数万年前は海であったことを物語る証拠が、触感で感じることができました。

泉南市砂川奇勝
泉南市砂川奇勝

公園の中には、手付かずというか放置プレイというか、けっこう自然のまま奇勝が残っています。雨で侵食されて奇妙な形になっているのですが、ということは今でも現在進行形で侵食されているってことだろうと思います。

現在の砂川奇勝

奇勝の岩は砂が固まっただけなのか、石もその中に混ざっていたりします。その石がけっこうツルツルなものが多く、これもかつては海底にあったものなのかもしれません。

たまに貝や魚の化石がポンと見つかったりするらしく、私も目を皿にして探してみましたのですが…そんな都合良く見つかるわけがありませんでした。

現在の砂川奇勝と砂川遊園

奇勝の中でもかなり圧巻なのが、ほぼ垂直な崖です。

写真で見るとそれほど高さがないようですが、けっこうな高さです。さすがにグランドキャニオンほどではないけれど、ここを「砂川のグランドキャニオン」とでも名付けましょう。
地元の子供は、奇勝を「自然の滑り台」として上から滑ってたらしいですが、さすがにこんな垂直じゃ滑られない。滑ったら滑り台どころか、バンジージャンプになってまう。

しかし、かつての砂川奇勝はこんなものではなかったようです。

砂川奇勝

写真に写る人でわかるように、開発される前の砂川奇勝には本当に断崖絶壁がそびえていたのです。これは足を踏み外したらホンマに死ぬな。
それにしても、高度経済成長の住宅不足などもあったとは言え、日本に二つもない貴重な自然の芸術をほとんど壊してしまうとは、実にもったいない。いざ後悔して「しまった!」と思っても、昔日の風景は二度と蘇りません。覆水盆に返らず。

戦後の経済成長は、確かに日本に豊かさをもたらし、我々もその恩恵を受け生まれ、育ちました。しかし、それは100%良かったのか。少なくとも砂川奇勝は、今残しておけば観光資源になっていたのではあるまいか。そうなると、一度は消えた砂川遊園が、形を変えてあの世から復活できたのではないか。

誰もいない砂川奇勝の丘の上で、しばし胡座をかいて座りながら、80年前の自然に奇景に思いを馳せていました。

砂川奇勝と関西空港

奇勝のてっぺんから見た風景です。
元々奇勝の公園の標高が高いのと、奇勝のてっぺんがけっこうな高さなので、大阪南部を見渡せる絶景です。木がちょっと邪魔と言えば邪魔ですが、関空の連絡橋も見ることができます。青い矢印の部分が連絡橋ね。
もちろん関空自体も見えるので、飛行機が離着陸しとるところも全然見れると思います。
また、うっすらではあるけれど、淡路島(らしきもの)まで見えます。昔は、さぞかし絶景だったことでしょう。

現代のしょぼい奇勝を見て改めて、戦前の奇勝はさぞかし「奇」だったろうなと思わざるを得ません。

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