日本語はなぜ難しい?外国人が苦戦する5つの理由をわかりやすく解説!

日本語難しい外国人 ブログエッセイ

アメリカの外務省にあたる国務省に、「外国語習得難易度ランキング」というデータがあります。

日本語はどこがどのように難しいのか

外国とのお付き合いが主なお仕事の外交官は、対象国の言葉を覚える事が基本中の基本。その習得の時間で難易度を分けた表が上の世界地図の色分けとなります。
なお、外国語の「習得」という基準は一体なんだという議論がよく行われますが、この「習得」はスピーキングとリーディングです。

その中で最も難しいカテゴリー5+に入っているのが、吾等が日本語。

「日本語は難しい」とよく言われますが、実際にどこが難しいのでしょうか?

英語などの言語と比べると、日本語には独特の特徴があり、外国人にとって大きな壁になります。

この記事では、日本語が難しいと言われる理由を7つに分けて、わかりやすく解説します。

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日本語が難しい理由①ー2000個以上の漢字

「イイネ」ではなく「ムズカシイネ」をいただいてしまった日本語の難しさですが、一体何が、どう難しいのか。これを客観的に見ていきましょう。

日本語勉強中の外国人に、「日本語のどこが難しい?」と聞くと、半分以上の人は漢字と答えるはず。ただし、漢字を使う中華圏の人は除いて。

常用漢字の数は法令で定められており、その数2,136字。我々はこれを、学校で9年かけて勉強するのですが、外国人がこれを覚えるエネルギーたるや、メンタルが弱い人は精神を病むほどだそう。

趣味や興味から日本語の海原に入り、ヒャッハーと漢字の海にタイビングして「溺死」する人が多数。そりゃ我々も、古代エジプトの象形文字を2,136個覚えろと言われれば、どんな罰ゲームやねんと頭を抱えるはず。

ところで最近、海外での日本文化の浸透で、英語で漢字を「Kanji」と呼ぶことが多くなったそうです。
ネット上では、”Chinese character”だと「画数」が多いからか、ほぼ「Kanji」一択です。

本家のお株を奪われた中国人が、この流れになんでやねんと頭を抱えているそうですが、日本語学習者の間では漢字の勉強時間を、“punishment”(懲罰、虐待)と呼ばれて恐れられています。
…という小咄です。え?面白くなかった?

日本語が難しい理由②ー漢字に音読みと訓読みがある

漢字だけなら、漢字の総本家中国語も同じじゃないかという意見もあります。それはごもっとも。特に台湾・香港(とマレーシアの華人社会)は日本も戦前に使っていた旧字体(繁体字)を使用するので、漢字単体なら日本より難しい。「塩」を「鹽」と書かれた時は、日本人ですらお手上げです。

日本語と中国語の漢字の大きな違いは、一つの漢字に複数の読み方があること。

中国語の漢字の読みは、基本的に一つしか存在しません。複数の読み方も字によっては存在はするものの、その都度覚えていけば済む程度の例外です。中国語と四半世紀のあいだ戯れている人間(筆者)が言うのだから、間違いない。

しかし、日本語はそうはいきません。
日本語には、「音読み」「訓読み」の2つの読み方があります。
音読みは、日本に伝来した大陸(中国)の時代によって「漢音」「呉音」「唐音(&宋音)」に分かれます。「京」だと漢音が「けい」、呉音が「きょう」、唐音が「きん」という風に、いくつもの読み方に分かれますが、それだけならまだマシな方。

これの最も難しいところは、どれをどう発音するか、法則性がまったくないところです。それこそ、字ごとに覚えろ以上。
漢字を覚えるだけでも地獄の苦しみなのに…とここで心がバキバキに折れるでしょうね。

さらに厄介なことに、上級編として「当て字」もあります。
「目出度い」や「呉れる」、昔の人がよく書いていた「六かしい」(むつかしい=難しい)もそれに当たります。「夜露死苦」もそうですね。かく言う私も、「いかれる」なんてオリジナル当て字をブログで使いますし。

当て字は文学作品などに多く、特に夏目漱石は当て字の達人と言っていいほど、文面のあちこちに当て字を散らしています。日常会話レベルではさほど使わないものの、文学などの上級編になるとこの当て字との戦いも待っている…と。

日本語が難しい理由③−必須語彙数が多すぎ

18世紀から19世紀にかけ、英語イギリスvs仏語フランスの国際共通語の座をめぐるバトルが行われていました。
結果英語が勝利したのですが1、その理由の一つに文法のシンプルさもあるのではないかという自説を持っています。

あれでシンプルなの?

という声が画面の奥から聞こえてきそうですが、フランス語やスペイン語、ましてやドイツ語に比べれば、英語文法は名詞の性別や再帰動詞がなく、仮定法の使用も限定的なだけ鼻くそレベルの楽勝です。

しかし、英語の難しいと感じるところは、“sweat”と”perspiration”(意味:汗)のように、同じ意味の語彙(単語)が山というほどあること。これは、前述した「英語が仏語さんに里子に出された」影響の最たるもの。

日常会話に必要な語彙数は、フランス語でだいたい900~1200程度。言語学者の千野栄一氏によると、欧州の言語は「英語を除くと」1000語覚えておけば日常生活に事足りるとのこと。

対して英語における必須語彙数は、ざっくりで2,600~2,700語だそう。これは、TOEIC700点取得に必要とされる単語数に匹敵します。数字的な「英語ペラペラ」はTOEIC700点だと外資系企業の中の人から聞いたことがありますが、いちおうこれが根拠なのか!?

これが日本語となるとどうなるのか。研究者にもよりますが、だいたい4~5,000語くらいだろうと言われています。新聞を完全に理解する読解力になると、さらにこの1.5倍増し。
さらに文学のような上級編となると、慣用句や古語、そして俳句の季語など、いくつなのかどうでも良くなる次元に。俳句の季語だけでも、初心者向けポケット歳時記で約2,000語(副題含む)ありますからね。

もっとさらに、日本には「造語のプロ」の落語家などがおり、言葉遊びや漢字の組み合わせなどで、どんどん語彙が無限増殖されていく始末。これでは日本人でさえノイローゼです。

「言語は生き物である」という言葉があります。言語も時代の流れの中でどんどん変化しているのですが、日本語はその新陳代謝が非常に早いのも特徴です。言葉遊びが好きな民族性なので、今でもネット上で新しい言葉がどんどん「開発」され、衰える気配がありません。

日本語が難しい理由④−主語が略されて記述があいまい

日本語の大きな特徴の一つに、主語をあいまいにしたり、省略したりすることがあるという点があります。
私を含めたネイティブにはいまいちピンときませんが、『源氏物語』や三島由紀夫などの文学者を海外に紹介し、海外では「日本文学の権威とくればこの人」というドナルド・キーン氏(故人)が、「日本語でいちばん難しいところ」にこれを挙げていました。

対して英語は、「主語+動詞+目的語」の形が絶対で、古くから伝わる慣用句を除いてこの語順が変わるということは、ほぼありません。
英語に限らず、ヨーロッパの言語は基本的に主語は略しません、いや、略せません。
スペイン語やイタリア語、ロシア語などは主語が省略されてるじゃねーかという反論も出てくるかと思いますが、あれは動詞の活用・変化で主語が誰かわかっているからこそ省略できるという条件がついています。
英語はその特性を失っているからこそ、主語がぜぇ~~ったいに必要なのです2

対して日本語の主語省略は、そんな制約なしに自由自在。主語が誰かは文の流れで解釈しろという、文面での空気嫁です。
それが外国人には、そんな無茶苦茶な!と思えるのです。

たとえば、こんな会話があります。

明日、どこへ行きたい?

ディズニーランドに行きたいな~

ごめん、給料日前でお金ないや

もう、バカ!

何気ない会話ですが、これ、全部主語が抜けています。
我々は習慣で主語がわかりますが、その訓練を積んでいない外国人にはさっぱりわわからない。その証拠に、これを英語に訳すときにまずスタートさせる第一歩は、主語を確定させることです。

その証拠に、上の会話をを英語に訳してみます。教科書通りの手作り翻訳なので、英語間違ってるよということがあればご勘弁を。

Where do you want to go tomorrow ?

I would like to go to Tokyo Disneyland.

Oh ! I don’t have money because it‘s before my payday.

Oh, that‘s silly !

全部何かしらの主語がついているでしょ?主語がない日本語とは真逆です。
名の知れた文学者の小説になると、もっと高度なテクニックで主語をボカします。
これを知った時の本には、谷崎潤一郎の『細雪』が文例として載っていましたが、日本人でも誰が主語なのかわかりません。実際に『細雪』を英語に翻訳したキーン氏は、ぼかし方が上手いなーと感心しつつ、冷や汗をかきながら作業をしたとか。

我々が日常から使っているもので、究極に略されている言葉があります。それが「よろしくお願いします」
これをいきなり英語で訳せと言われても不可能です。最低でも前後のニュアンスを察し、最低でも「誰が」「何を」「どのように」お願いするのかを明確にしないと、翻訳(通訳)しようがありません。

モンゴル力士のパイオニア、元旭天鵬(現友綱親方)と元旭鷲山がある日、引退が決定した先輩力士の元旭道山に呼び出されました。そこで

旭堂山
旭堂山

あとは頼んだぞ!

と一言だけ言われたそうです。

親方
親方

何を頼まれたのか、さっぱりわからなかった(笑


友綱親方は笑いながら当時を振り返っていました。その後自分が部屋頭になり、後輩を引っ張る立場になりようやく意味を理解したのですが、それまで数年の時間がかかったそうです。

「よろしくお願いします」は普段何気に使っていますが、コンパクトにまとめることが好きな日本人らしい、究極にミニマリズムな言葉と同時に、究極に空気読めなフレーズでもあります。

  1. ただし、郵便や航空、外交方面などでは仏語も併用され引き分けor仏語の勝利。
  2. 古くからの慣用句を除く。
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コメント

  1. しばいぬひなこ より:

    日本語は~の記事、とても面白かったです。
    国によって言語の難しさの基準が違うのですね
    特に音読みの種類の違いについては、長年漠然と抱いていた霧が晴れいくようでした。

    ブログ主を知ったのは、twitterがきっかけです。
    古い建物を見るのが好きで、偶然お見かけして以来、投稿を楽しみにしております。
    歴史的建築物と言われるものには、必ずしも良い意味ばかりではないと知り、驚きました。

    女性として遊郭を見ると、どうしても哀しい歴史に思いを巡らせてしまいます。
    その時代に生まれていたら、自分もこの中にいたかもしれない…と。
    この中にいたとしたら、それでもこの建物を美しいと思えただろうか…と。

    歴史を振り返ると、その時代の常識ってある意味で怖いと思いました。

  2. 槻 (Keyaki) より:

    最高に面白くて、爆笑しながら読みましたw
    まさに共感の嵐です。

    外の世界の言語を覚えれば覚えるほど、如何に日本語が異次元なのかを痛感しますね。日本語を一から勉強している方々には頭が上がりません。

    そういえば、とある海外の友人からこのようなコメントをいただきました:
    『ほとんどの日本人の絵が上手いのは、毎日絵(漢字)を描いてるからだろ』
    と聞いて、まさにそうだなと。書き順なんて物があると知ったら、発狂間違いなしでしょうw

    擬音語に関しては、日常的に使われているものは勿論、新たなオノマトペを作りたければ作れるという無法地帯(しかも読み手は理解できる)。
    これには「なぜ自分は理解できるのか?」と疑問に思うくらいです。

    方言も勿論すごいのですが、ネット用語や若年層用語も目まぐるしい速度で変化していきますよね。特にネット用語に関しては、自分も見てきたので身に沁みます。
    20〜15年前は『2ch用語』『ギャル語』などが流行っていましたが、今となってはその大半は死語と化しました。
    例えば、【藁】は少し前の 【笑】であり、現在の【草】です。現在のネットで藁なんて使えば、生きた化石として保護されてしまうでしょう。
    たった数年前まで溢れかえっていた「ワロタwwwwww」ですが、今となってはネット老人の発言だと即バレしてしまいます。
    【JK】は【常考】の略、「常識的に考えて」の略でした。しかし、それは次第に【女子高生】へと意味を変えていきました。
    【希ガス】【微レ存】【(ry】【KONAMI】……
    こう見ると、自分は社会に置いていかれているんだなと、少し悲しくなってしまいますけどねw

    やはり言語は最高に面白いですね!書いていてすごい楽しかったです。

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