阪和線津久野駅前の団地「津久野住宅」

阪和線津久野駅前のUR津久野団地。1階が店舗になっている1号棟の全景。 歴史探偵千夜一夜

日本住宅公団(以下、公団)によって開発された、阪和線津久野駅界隈。
昭和35年(1960)に建設された向ヶ丘第一団地のお膝元として歩んできましたが、それはすでにありません。

津久野駅前。サンヴァリエ津久野

サンヴァリエ津久野という洒落た名前のURマンションになっています。
昔の団地の姿しか記憶にない人にとっては、様相がだいぶ変わったと思われます。

津久野駅前にできた堺市立総合医療センター

また、近年は堺市立総合医療センターも団地跡地に完成しました。

そんな津久野駅前には、「津久野団地」という公団建設の団地が現在でも残っています。
こちらは同じ津久野にあるものの向ヶ丘第一団地とは別もので、URのHPによると築59〜61年とされています。
しかし、どの年を基準に築60年としているのかわかりません。

1964年昭和39年、津久野駅前と向ヶ丘第一団地

堺市の写真集によると、後ほど述べる高層マンションとしての団地の棟が昭和39年(1964)には写っているので、だいたい昭和40年(1965)前後と思っていいでしょう。

津久野駅前の津久野アパート(津久野団地)

現在残っているのは3棟。それぞれ(1)(2)(3)と番号が振られています。
今回はそれぞれ1号棟、2号棟、3号棟とします。

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1号棟

阪和線津久野駅前のUR津久野団地。1階が店舗になっている1号棟の全景。

1号棟は5階建てになっており、1階に店舗がある典型的な店舗一体型の団地になっています。
ここは住所的に「津久野町1丁目1番地」となっており、公団の町津久野のガチ1丁目1番地となっています。

阪和線津久野駅前のUR津久野団地。1階が店舗になっている1号棟の店舗。2025年

1階はこのように店舗になっています。
私が津久野駅を利用していた頃は、「天牛堺書店」やマクドナルドもあったのですが、店のメンツはすっかり変わってしましました。昔と変わっていないのは、服屋のキタカツとツクノ薬局くらいかな!?

津久野団地(1)の公団時代の銘板。「日本住宅公団津久野アパート」の文字が残る

URが必死に(?)公団色を消しにかかっている中、「日本住宅公団」の看板が残る珍しい団地です。
「日本住宅公団津久野アパート」、これがここの正式名称だったのかと。

津久野団地。「都市基盤整備公団」の名前が残る看板。

こちらは「都市基盤整備公団」の文字が残る看板。
「都市基盤整備公団」は、津久野団地などの管理者だった「日本住宅公団」が昭和56年(1981)に「住宅都市整備公団」に変わり、それがさらに改組された特殊法人。

平成11年(1999)にこの名称に変わり、その5年後の平成16年(2004)に現在のURとなったため、制度上は5年間しか存在しなかった組織です。
その名が記された看板が残っているのは、ある意味「日本住宅公団」よりレアかもしれない…。

津久野団地のダストシュート

昭和30年代築の団地あるある、ゴミ捨て用のダッシュボードも残っています(現在は使えません)。

駅前の高層マンションー津久野団地 2号棟

津久野団地の中でいちばん目立つのが、この(2)の建物。

津久野団地の下にある店舗。つくの飯店

1階は商店スペースになっています。「つくの飯店」は、外観こそ変わったものの筆者が小学生の時からあった記憶があるので、もう40年以上存在する津久野の生き字引。

画像左側、すでに壁になっている部分にはおもちゃ屋もあり、ファミコンソフトをよく予約していました。友達がここでドラクエ(初代)を予約してたなー。

津久野駅前団地の精肉やまたけ(グリルやまたけ)
やまたけ

「やまたけ」は、SNSで画像をアップすると懐かしい!と食いつき率高めのお肉屋です。
ここのコロッケは、向ヶ丘第一団地で育った人は、ここの揚げたてコロッケを食べたことないなんて絶対に言わせん!というくらいの名物です。
ちなみに、現在(2025年8月)コロッケは100円です。昔は30円か50円だったのにな…たこ焼き1個10円の頃の話やけど。

阪和線津久野駅前のUR津久野団地。ここは元レコード・CD屋

ここはかつてレコード・CD屋で、私もよくなけなしの小遣いを握りしめてレコードやCDを買っていました。

阪和線津久野駅前のUR津久野団地。「日本住宅公団 津久野アパート」の銘板が残っている。

公団から都市再生機構ことURに変わってからすでに久しいですが、ここには

「日本住宅公団」

のプレートが残っています。
URが血眼になって公団時代の痕跡を消している中、こんなにきれいに残っているのは全国的にもかなり貴重なはず。

津久野団地2号棟

上階の居住区へ上がってみると、その姿はうって変わって近代ビルそのもの。
今見てもけっこうな圧巻ぶりなのに、建てられた当時の人々、特に居住者の驚きと感激は、言葉では表現できないでしょう。

津久野団地2号棟
津久野団地2号棟

しかし、さすがは60年選手か、所々で「レトロ」も感じさせてくれます。

男子のみの独身寮 3号棟

JR阪和線津久野駅前にある津久野団地3号棟、独身男性棟
JR阪和線津久野駅前にある津久野団地3号棟、独身男性棟

3号棟は、男性限定の単身者ブロックとなっています。

入口には管理人が常駐しており、風呂・トイレ・洗濯機は共用。浴室も曜日と時間が決まっているという、昔のヤングタウンを思わせる昭和時代の独身向け団地そのままのスタイル。

こんな昭和スタイルのアパートなんて今時の若い衆は堪えられるのか?と思うけれども、やはり駅前徒歩事実上0分というアドバンテージが強いのか、HPを見ても空室なし。事務所に行って問い合わせたらあるかもしれないけど。
かつて空室があった頃に家賃を見たことがありますが、家賃も3万円+共益費とかなり安かったはず。

津久野駅前は長い間お世話になっていた場所でもあるけど、それだけに津久野団地のブログ的意義に気づきませんでした。

津久野駅が開業して65年、津久野団地ができて60年。
ここも立派な「昭和レトロ」となっています。

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