奈良県立図書情報館に眠る娼妓たち|おいらんだ国酔夢譚 番外編|

遊郭娼妓奈良県立図書情報館関西地方の遊郭・赤線跡

全国の図書館の蔵書を調べていると、何か琴線というか、インスピレーションに触れるものがあります。それを地道にピックアップしていくということも、ある意味研究の一つなのかもしれません。これもこれで、ネット世界の宝探しのようで面白い。

今回も、3月の連休で調査予定の、出雲伯耆方面の遊里跡のデータを探していると、意外なところから意外なものを発見しました。

大和郡山の遊郭跡訪問を終わり、向かった先がこちら。

奈良県立図書情報館

奈良県立図書情報館です。

「島根県と鳥取県やのに、なんで奈良県やねん!?」

とツッコミを食らいそうですが、話はちゃんと最後まで聞きましょう。
嫌でも現地という本丸に突入するのではありますが、「宝」というものは本件と関係なさそうな、人の意表を突くような場所に息を潜めていたりするものです。
そして、本丸に突入する前に外堀からじっくりと埋めていく。焦らず急がず、じっくり弱火でコトコトと煮詰めていくと、良い味が出てくるのです。研究というものは、すぐに結果を出したいあまり、強火に焦がしてはいけません。

せんとくん

そして、図書館に入ると悪夢・・・もとい夢に出てきそうなマスコットキャラ、せんとくんがお出迎え。これでも私、ゆるキャラなんです(笑
それにしても、最初に登場した時はなんと気持ちの悪い…と酷評だったせんとくんも、すっかり馴染んでますな…。

館内撮影禁止につき撮影はしなかったものの、中は良い意味で予想を裏切るホテルのような現代的な内観と、広々としてゆったりと余裕のある館内。金かけてます感がびっしり詰まった図書館でした。

「都道府県立図書館」とくれば、どうも大阪府立中之島図書館のイメージがこびりついているのと、奈良県という勝手なイメージでオンボロ…ゲフンゲフン、古風な建物を想像していただけに、良い意味で期待を裏切ってくれました。といっても、旧の県立図書館は明治時代築の超和風建築だったそうです。
唯一の不満を言わせてもらうと、交通の便が悪いこと。図書館前が始発のバスはあるけれど1時間に1本しかないし、車で来ても駐車場は有料。せめて3時間くらいは無料にしてくれ~。

ここの目玉は、太平洋戦争関連の資料・蔵書が集中的に揃っていること。それも全国的な戦争資料が揃ってるみたいで、陸軍の歩兵操典や、「生きて虜囚の辱めを受けず」で有名な『戦陣訓』の原本までありました。
「昭和史」もライフワークな私にとっては、1日いても飽きない。

わざわざ陸の孤島のような奈良県立図書情報館まで来た理由は、実は他にもありました。県立図書館の蔵書検索をしていた時、

「おや?」

と私のアンテナに引っかかるものを見つけました。
せやけど、インターネットの文字列だけじゃ、その「おや?」がどんなもんかわからない。レアなものであることは確かだけれども、現物を拝んでみる価値はあるなという気分に。

そして、図書館のきれいなおねえさんに「見せて~♪」とお願いして数分。持ってきたものは、何やら木箱に入った紙。そして大きな油紙。
木箱の中に入っていたもの、それは少し息を吹きかけると破れて穴が開きそうな手紙のようなものでした。言い方を変えると「ボロボロ」ということ。

「取り扱い要注意につき、くれぐれも乱雑に触らないように」

と注意を受け、同じく持ってきた油紙をテーブルの上に敷き、その上でのみ閲覧可という代物でした。

中身を見てみると、確かにけっこう貴重というかレアもんの資料っぽい。とりあえずコピー取って家でじっくり見てみるか…と思ってお願いすると、

「取り扱い要注意資料につきコピー不可」

と冷たい返事。つまり、コピーにも耐えられないほどボロボロと。
しかし、ここで諦めるわけにはいかない。それなら、別の図書館でやったことがある、コピー不可(なほどボロボロな)資料を「デジカメコピー」するという手はどないでしょ?と提案してみました。
「ちょっと聞いてみます」
と館員は館内の奥へ。
待つこと数分、

撮影OK

の許可が出ました。
しかし、別室でどうぞというわけで図書館の大奥までご案内。
資料自体は著作権フリー、あなたの気が済むまで何枚でも撮影どうぞというお墨付きをもらい、写真を撮らせてもらいました。では、気が済むまで籠城させていただきます。

NEXT:コピー不可なほどの資料とは一体?

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コメント

  1. 43 より:

    貴重な資料をありがとうございます。
    達筆な字、さしでがましく恐縮ですが、おそらく

    さと さんは、成尾さと です。

    海老ヤエさんは160円、
    さとさんは180円です。

    ほかはよく読めません。

    • 米澤光司 より:

      ご指摘ありがとうございます。確かにそう見ると「成尾」と読めますね。
      値段も含め、本文を訂正しておきました。

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