我々が海外で異文化と出会いカルチャーショックを受けるのと同様、日本を訪れる外国人も日本に来て驚くことは、枚挙にいとまがありません。
「なんやそんなもんか」
と我々が見向きもしない事物でも彼らには衝撃的なことがあり、やれCrazyだCoolだと派手に驚かれます。
その中の一つに、自動販売機があります。
先に誤解なきよう言っておくと、海外にも自動販売機はあります。
あるにはあるけれども、たいていはコカ・コーラかコーヒーの販売機。要は芸がない。
台数の多さと種類の豊富さ、購入客を楽しませようとするエンターテイメント性に関しては、日本はまるで別の惑星です。
海外でありそうでないのが、「あったか~い」飲み物が出る自販機。
一つの自販機に「つめたい」「あたたかい」が同居したり、季節によって冷温がチェンジするのは日本独特。
ほんの4~5年前まで外国人が、
見て見て!すげーCoolじゃない?
と大喜びでYoutubeにアップしていました。HotなのにCoolとはこれいかに。
まあ、最近は技術の進化と情報の伝達、そして中国のパクリが異様に速いので、Only in Japanではなくなってきてるかもしれませんが。
それにしても、なぜ日本には自販機があふれているのか…興味深いお題ですが、今回はやめときます。
掘り出したら文明論になって絶対に、今回の本題にたどり着かなくなるから(笑)
そう、今回はそんな意識高い系のお話ではありません。
外国人、いや昭和生まれが泣いて喜ぶ骨董品のような自動販売機が並ぶ意識低い系スポットを。
レトロマニアがうなるレトロ自動販売機スポット
徳島県、良くも悪くも阿波おどりで有名な地方ですが、ここに全国の昭和レトロマニア羨望の的の場所があります。
「コインスナック御所24」
という場所です。
実際に行ってみると、ただ自動販売機並んでいるだけの、ごくふつうの休憩所に見えます。並んでいる機械も、特に珍しいものはなさそう…
しかし、その自動販売機のラインナップに、我々は驚くこととなります。
かなり年季の入ったLOTTEのガムの自販機。
誰が買うねんと首をかしげたくなる手袋の自販機。
(残念ながら故障中)
これだけでも、なんだかネタ満載の予感…
ここにはゲーセンもあります。
この時点で「昭和補正」が加算されてしまっているので、昭和生まれが童心に戻りそうなレトロゲームがあるかも!?と胸がいっぱいです。。
書きたいのはやまやまですが、写真だけ晒して敢えて書きません。どんなゲームがあるのかは、実際に現地で確かめて下さい。
コインスナック御所24のメインディッシュはやはり自販機、お題の原点に戻ります。
レトロ自動販売機その1-コカコーラ
レトロな自販機その3。コカ・コーラの自販機。
こんなん、どこにでもあるやんって?
いやこれ、コーラなことはコーラなのですが、
瓶
なのです!
アルミ缶やペットボトルが当たり前になった昨今、瓶詰めコーラなんてまだ生産されてたの?と驚きを隠せません。
販売機は1000円札が使えるところからそれほど古くないように思えますが、瓶コーラはノスタルジーを感じさせる昭和考古学の遺物。
瓶コーラのフタは、こうして開けます。
自販機にある穴に、
コーラの頭を突っ込ませ、そのままスコーン!と下の方へひねります。
はいこのとおり。昔、こうしてコーラを飲んでいたな~。
持った時のずっしりとした、厚みのある瓶の重量感、我々昭和世代にとっては懐かしい。ペットボトルしか知らない平成世代には、おそらく新鮮な感覚です。
なお、お味はなんの変哲もないふつうのコーラでございます。
しかし、私がわざわざ鳴門大橋を渡ってまでやって来た理由は、コーラではありません。
レトロ自動販売機その2-うどん
待ってました!うどんの自販機!
これは昔、高速道路のSAによくあった気がするのですが、今となっては昭和レトロの一つと化したレア自販機。
これを食うために、私は晩御飯を抜いてここまでやって来たのだ!
…が、残念ながら現在故障中…orz (※2019年4月26日時点)
この空腹をどないしてくれんねんアホ~。
しかし、ここコインスナック御所24には、うどんををしのぐ切り札を備えているのです。
レトロ自動販売機その3-カレー
いかにも古そうなカレーライスの自動販売機。「新発売」と書いていますが、ウソつけと自販機にツッコミの手をいれてやりたくなります。
これは、存在が確認されている限り、日本で唯一残るカレーの自動販売機です。
自販機には、若かりし頃の笑福亭仁鶴師匠がデカい顔を晒しております。昭和の薫りムンムン、カレーなだけに昭和な加齢臭が…。
笑福亭仁鶴師匠を知らない人のために、少し解説。
仁鶴師匠の本職は落語家で、関西ではNHKの「バラエティ生活笑百科」の司会を30年以上勤めている人(現在休養中)としても知られています。
昭和40年代、彼は「出るだけで視聴率を5%上げる男」と呼ばれたお茶の間の人気者でした。
「東京に進出した初めての関西芸人」
「落語家が話芸を活かしてタレント・MCになったパイオニア」
として関西の芸人が東京へ進出する基礎を築いた、昭和芸能史に足跡を残す芸人です。
彼の後に東京に進出した桂三枝(現文枝)、明石家さんまや笑福亭鶴瓶、ダウンタウンなども、歴史学的に見れば仁鶴師匠が切り開いた道を後からたどってきただけに過ぎません。
で、そんな仁鶴師匠がボンカレーのCMをしていたのは、私の調べだとだいたい1972年(昭和47)から1976年(昭和51)。自販機もおそらくこのときのものではないかと。
40年以上現役のロートル自販機というだけでも、お疲れ様と頭を垂れたくなります。
本当はカレー&うどんのコラボをいただくつもりでここまでやって来たものの、うどん自販機故障中という予期せぬトラブルに巻き込まれてしまったので、今回はカレーだけにします。
料金は300円。まあ安くもないが高くもない。
見せてもらおうか、日本唯一のカレー自販機の実力とやらを
お代金を入れてボタンを押すと、カレー色の紙に包まれた塊(?)が出てきます。
紙を剥がすと、レトルトカレーが出てきました。
ん?出てきたのは○ウスのカレー。
徳島県はボンカレーの大塚製薬のお膝元、ここはボンカレーが出なくてどないする、何やってんの大塚製薬。
ボヤいても仕方ない、ここは素直に「ハウ○のカレー」を堪能することにします。
カレーは自販機から出てきた時点でアツアツに加熱されており、電子レンジでチンする必要もない、ちょうど良い塩梅の温度になっています。
カレーの下にはご飯があり、スプーンもついています。
それにレトルトカレーをご飯にかけたら出来上がり。
お供はもちろん、瓶コーラ。
肝腎の味は、まあ良くも悪くも至ってふつうのカレー。
しかし、キャンプ場で食べる手作りカレーのような謎補正がつき、少し美味し目かもしれない!?
せめて福神漬をがあったらな~と思いますが、欲しければ事前調達しておくか、ここから100mくらい先にあるコンビニで購入しましょう。要はセルフサービス。
上述のとおり、現役で動いているカレー自販機はこれが全国唯一。
カレーと昭和レトロの聖地として、この1台だけのために全国から来訪者が絶えることがありません。
踊る阿呆に見る阿呆、とは徳島県名物阿波おどりのフレーズですが、ハ○スのレトルトカレーのためにここまで来る…食べる阿呆と言うべきでしょうか。
さにあらず。同じ阿呆なら食べなきゃ損々。
うどんは残念ながら堪能できなかったですが、老境に入ってもまだ現役で頑張るレトルトカレー自販機に思いを馳せながら、しばしの昭和を味わえるホットスポット、それがここコインスナック御所24なのです。
昭和が生んだ自販機ノスタルジーを求めて、今日も全国から参拝、もとい来訪していることでしょう。
ただし、あまりにいっぺんに押し寄せて「過労死」させないよう、お願い致します。
コインスナック御所24の場所
営業時間・定休日
当然、24時間営業の365日休みなしです。