実は、ブログネタの一つとしてある構想を練っていました。それが
「中国古典の言葉で紐解く恋バナ」
要は、
「中国古典?そんなのつまんない」
というJKが目を輝かせて聞いてくれる中国古典ネタということです。
中国古典とイメージするものは、やはり
「子曰くうんぬん」
と、爺さんが堅苦しい言葉を並べ、お説教するようなイメージが強いと思います。
確かにそういうものもあります。
が、今に残る中国古典の言葉は、数百年から数千年の風説に耐え、磨きに磨かれた宝石のような人生訓、人間学の結晶なのです。取るに足らない書物なら、そもそも数千年も残ってません。
中国の古典は、今残っている10倍はあったと言われています。
しかし、戦乱や資料の散逸(目録だけ残っている)、そして「危険思想」として時の権力者に消されたりして、残ったのは今に伝わるものだけなのです。
中国古典は人間学のエキス。なので何にでも応用できます。読み手の心情や状況によっていくらでも変化する、それが中国古典の柔軟性。
それなら恋愛にも応用できるのではないか。そう考えて作ったのが、今回の記事です。
恋する乙女も、付き合ってラブラブなカップルも、そして
「そんなんもうどうでもええわ(笑」
という私のような枯れた人も、ピンク色の清涼飲料水と思って味わっていただければ。
1.利に放(よ)りて行なえば、怨(うら)み多し
(『論語』里仁第四12)
「(自分の)利益追求ばかり優先させると、人の怨みを買うことになるよ」
ザ・キング・オブ中国古典、『論語』からです。
恋愛でも、自分のことばかり考えて相手のことをないがしろにしていると、好きな人どころか、本当は応援してくれるはずの周りの人まで敵に回してしまうよ。
ということです。
特に女性は、「恋愛無罪」という考えを持ちがちです。
「恋のためなら何をしてもいい。恋のためのことは無罪である」
好きな人を避けたりつっけんどんな態度を取っても、女性どうしだと
「わかるわかる!」
と理解してくれますが、自分の気持ちがわからない男性は理解してくれません。それを棚に上げ、理解しない方が悪い!とつい自分勝手な考えに走ってしまう。これが「恋愛無罪」です。
これと似た言葉が同じ『論語』にあります。
君子は義に喩(さと)り、小人は利に喩(さと)る
(里仁第四-16)
「君子は人としての常識をわきまえて行動するが、小人は自分利益優先で行動する」
これを恋愛話に変換すると、
「大人の恋愛は相手のことを思いやるけれど、ガキの恋愛は『私が、私が』と自分勝手になってしまう」
ということです。
2.義を見てせざるは勇なきなり
(『論語』為政第二-24)
「正義を行うべき時に行動しないのは臆病者だ」
と直訳ではこうなりますが、ちょっと堅苦しいので恋バナ風に変換します。
「ここぞという時に誘ったり告白しないと、ただの臆病者になってしまうよ」
特に男性は肝に銘じたい言葉ですね。
女性は好きな男には、非常に微弱な電波(サイン)を出します。ただし、肉食系女子は電波というより電磁波ですけどね(笑)
「モテる男の秘訣7カ条!」
などと大々的に書いているサイトやブログもありますが、一つにまとめるとこれ。7か条も要らん。微弱な電波を受信できるかどうか。これがモテる男の秘訣と言っていいでしょう。
誘って欲しい時や告白して欲しい時も、非常に微弱ですが信号を送っています。そこに気づきつつも、断られるのが怖いとか、嫌われたくないとか、勘違いして恥かくの嫌だとかでチャンスを逃すと、
「なんだつまんない・・・」
と相手の恋は冷めてしまいます。
ここぞとばかりに勇気を出せ!孔子からの2500年の時空を超えたエールです。
なんだか堅物のおじいちゃんって感じの孔子も、こうして解きほぐすと
「話がわかる人やんか!」
と思いません?
3.天の時は地の利に如かず、地の利は人の和に如かず
(『孟子』公孫丑章句下)
「天から与えられたチャンスも、立地条件の良さにはかなわない。しかし、それさえも人の結束力には及ばない」
高校の古典の授業で必ず習うレベルの、有名な言葉です。
『孟子』は「孟さんの屁理屈全集」というサブタイトルをつけて良いほど、ああ言えばこう言うのオンパレードです。読んでてうんざりします(笑
しかし、日本人は孟子が大大大好物。上の言葉も公務員試験や大学入試にも出てくる定番フレーズです。一般教養として、恋愛うんぬん抜きでこの言葉は覚えておきましょう。
じゃあ、これは恋愛に変換するとどういうことを言っているのか。
孟子がいちばん強調したい言葉は、最後の「人の和」です。
恋バナに変換すると、どんなにチャンスがあっても(天の時)、クラスや会社で相手と隣の席になっても(地の利)、周囲の人に助けてもらうこと(人の和)が恋愛成就の秘訣だよ、ということを言いたいわけです。
今まであれだけ悩んでいたのがウソのように、道が開けるかもしれません。
4.天を楽しみ命を知る、故に憂えず
(『易経』繋辞上伝)
「天命を自覚し、それに安んじればくよくよすることはない」
恋愛をしていると、得意の絶頂になったり、逆に何をしても上手くいかなかったり、山あり谷ありです。が、山でも谷でも「天命」を自覚できていれば、必要以上にくよくよすることなく淡々とした気持ちでいられるし、気持ちの切り替えも早くなります。
恋愛がかなっても、フラれても、それは「天命」だとわかれば感情がジェットコースターのように極端に上がり下がりすることはありません。冷静に事態を観ることができるということです。
「知命」と対になっている言葉が「立命」です。「知命」「立命」は一つのコンビといっていいでしょう。
その「立命」から取った学校の名前が、京都にある「立命館」です。
5.必ず忍ぶありて、それ乃(すなわ)ち済(な)すあり
(『書経』君陳篇)
「困難に耐え忍んでこそ、大事を成し遂げることができる」
恋愛は数々の困難、ハードルが待ち構えていますが、それから逃げず耐え忍ぶ事こそが恋愛成就の真髄だと言うことですね。 人間は、困難や厄介なことは避けたい、逃げたいと思います。「楽をしたい」というのは脳の本能であって、ヒトが動物として持っている原始的な機能です。だからこそ、「努力」ってしんどいし苦労するのです。何故ならば、本能に逆らっているから。 しかし、昭和天皇ではありませんが、「耐え難きを耐え、忍びがたきを忍び」でじっとチャンスを待つことも必要です。
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